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講座概要
山口県下関市には土井ヶ浜遺跡という著名な弥生遺跡があります。「土井ヶ浜人」と呼ばれることのある300体以上の人骨が出土し、弥生人の人骨(形質)研究の発展に大きく寄与したことで有名です。土井ヶ浜遺跡は、集落跡というよりかは主として墓域であり、土井ヶ浜遺跡の比較的近くには中ノ浜遺跡という同じく弥生時代の墓域もあり、この地域の独特な埋葬方法を知ることができる興味深い遺跡たちです。
山口県も広いですから、厳選した面白スポットを効率よくめぐることを考え、今回は一部の例外を除き、長門国(長州)側に絞りました。探訪箇所はいつもよりも少なく、24箇所の予定ですが、古墳や弥生時代の遺跡とそれに関連する展示施設がそのほとんどを占めます。長州の弥生・古墳時代の歴史については、本現地講座に参加することによって全体像を把握できるはずです。
また今回は、秋吉台のカルスト台地の不思議な景観や角島の絶景など、車窓を楽しめるように行程を工夫しました。
※本現地講座を企画した段階では、各館の休館予定はチェックしていますが、もし臨時休館になってしまった場合は、他の箇所で代替させていただきます。
※各館に展示してある遺物に関しては、タイミングによっては他館へ貸出している可能性がありますが、その場合はご了承ください。
※本現地講座は自動車でめぐります。
本講座のテーマ
AICTの掲げるテーマの内、本講座は主として「◎」に該当します。
| 旧石器時代 | 日本人のルーツと列島文化の始まりを探る | |
| 縄文時代 | 土器と土偶を楽しもう・列島各地の多様な縄文文化に触れる | |
| ◎ | 弥生時代 | 列島各地における国ぐにの発生と邪馬台国の謎を追う |
| 古墳~飛鳥時代 | リアル日本書紀・ヤマト王権の確立と古代国家成立への軌跡を探る | |
| ◎ | 古墳~飛鳥時代 | 列島各地の古墳をめぐろう・諸国古墳探訪 長門編 |
| 奈良~平安 | リアル続日本紀・列島各地に残る律令国家を見る |
開催日
2026年12月4日(金)~6日(日)
集合場所と出発時刻
山陽新幹線・新山口駅 改札を出た場所に、昼食を済ませて11:45集合
想定としては、「東京7:12発 新山口11:33着 のぞみ9号」に乗車いただき、車内でランチを済ませてから集合。
なお、新山口駅の改札を出ると、コンコース内のすぐ前にお土産屋さんがあって、店内奥に「味善」という小さなうどん屋さん(いわゆる駅そば)があります。個人的に気に入っているお店で、私は1本早く行って、そこのうどんを食べようかと思っています。

宿泊場所
1泊目:長門市駅近くでお取りください
※長門市駅近くにはあまりホテルが無いので、駅前で取れない場合は多少離れていても車で送迎します。
2泊目:下関駅近くでお取りください。
解散場所と帰着時刻
以下の新幹線に乗れるように新山口駅に戻ってきます。
新山口駅16:11発 東京駅20:33着 のぞみ44号
探訪箇所

朝田墳墓群|山口市
国道9号バイパスの建設工事に際して、山口県教育委員会によって昭和50年から57年にかけてと昭和60年に発掘調査が行われました。その結果、弥生時代から古墳時代にかけての墓域であることが分かり、土壙墓や箱式石棺墓から周溝墓や古墳など様々な墓が見つかったのです。
現地はそれらについて分かりやすく展示されているので、ぜひ古代のお墓のフルコースをご堪能下さい。


山口県埋蔵文化財センター|山口市
山口県内の遺跡の発掘調査について最新の状況が分かる展示です。そのため、訪れるタイミングによってクローズアップされているものが変わります。
平日のみの開館のため、日程によっては割愛します。


長登銅山文化交流館|美祢市
長登銅山で採掘された銅が奈良に運ばれて大仏鋳造に使われたという由緒があります。実際の坑道入口へは少し歩くので割愛し、交流館の施設の見学のみにとどめます。なお、特筆すべきこととして、交流館には木簡の実物を展示しています。どんな大きな博物館でも展示されている木簡はレプリカですから凄いことです。
美祢市美東町長登610 08396-2-0055 9:00~17:00(16:30) 月曜休館

秋吉台のカルスト台地|美祢市
カルスト台地とは、石灰岩でできた大地が雨水や地下水によって少しずつ溶食されて作られた特殊な台地です。秋吉台は日本を代表するカルスト台地の一つで、不思議な景観が広がっています。

とくにどこかに寄るというわけではなく、長門市方面へ行く際に少しの間「カルストロード」と名付けられた道をドライヴしますので、車窓から面白い景色を眺めてみてください。

ヒストリアながと(長門市総合文化財センター)|長門市
長門市の歴史を紹介した施設。1階には考古関係の展示があり、市内の遺跡から出土した遺物のほか後述する王屋敷遺跡から出土した有柄細形銅剣のレプリカを展示しています。2階は近代史コーナーで、シベリア引き揚げに関する展示もあります。
長門市東深川2660-4 0837-22-3703 9:00~17:00(16:30) 月曜休館

王屋敷遺跡|長門市
国指定重要文化財の有柄細形銅剣(弥生時代中期の所産)が出土した遺跡です。明治34年(1901)、土砂崩れの後の復旧作業中に偶然発見され、昭和31年(1956)に国の重要文化財に指定されました。
これまで全国では弥生時代の銅剣は800本ほど見つかっていますが、有柄細形銅剣は5本しか見つかっていません。それらの中では、吉野ヶ里遺跡で見つかったものが有名です。

現地には説明板が立つ以外にはとくに何もありませんが、貴重な遺物が出土した場所の景観を見に行きましょう。
なお、有柄細形銅剣を見ると朝鮮半島からもたらされた物か?と思うかもしれません。イメージ的には朝鮮半島に一番近い日本本土は九州北部沿岸だと思うのですが、王屋敷遺跡のある向津具(むかつく)半島も同様に近いです。つまり、長門は朝鮮半島の文化が入って来やすい場所なのです。
11m
南方古墳群|長門市
向津具(むかつく)八幡宮の裏山に3基の小さな円墳があります。1号墳は、6世紀後半に築造された径11ⅿの円墳で、横穴式石室を内蔵しています。2号墳の大きさは径7~8m、3号墳は径8.3ⅿで、墳頂部には石室の石材らしき石が見えています。
1号墳からは壺・坏蓋・銅製耳環・鉄製刀子・鉄鏃などが出土しており、長門市教育委員会が保管しているようですが、公開はされていないようです。
なお話は逸れますが、本古墳群や王屋敷遺跡がある向津具半島には、楊貴妃伝説が残っています。地元に伝わる話では、楊貴妃は処刑されそうになったところを兵士が身代わりを立て、楊貴妃を舟に乗せて沖に流しました。楊貴妃は漂流の末、この地にたどり着きましたが、里人の懸命な看護にも関わらず命を引き取りました。この地には楊貴妃の墓があります。
さらに、楊貴妃は玄宗皇帝の夢枕に立ち、「日本に流れ着き、里人に良くしてもらったのですが死んでしまいました」と告げ、それによって玄宗皇帝は楊貴妃を供養するために日本に阿弥陀如来と釈迦如来、それに十三重の宝塔を送りました。
・・・という、日本海側らしい面白い伝承ですが、私的には舟に乗せられて沖に流される方が惨いと思います。

角島砲台跡|下関市
角島(つのしま)にある第二次大戦の日本陸軍の砲台で下関要塞の一部です。設置された大砲は、日中戦争で鹵獲したドイツ・ラインメタル社製の大砲を修理したもので、「ラ式十五糎加農」と呼ばれ、昭和16年6月に4門設置されました。結果的にはこの砲台は一度も実戦で使用されませんでした。現在は、1番砲座のみ残っているとのことですが、藪の中に埋もれてしまっているようです。
角島は元々は離島ですが、現在は、1,780ⅿの角島大橋で本土と結ばれており、中国地方を代表する絶景観光地と言われています。
10m
和久古墳|下関市
全国を見渡すと、たまに道の駅と遺跡が合体しているものがあります。和久古墳もそうです。「道の駅 北浦街道 豊北(ほうほく)」の敷地内にあります。6世紀後半に築造された径10ⅿの円墳だったと考えられており、横穴式石室は元々は複室構造だったようですが、残っているのは玄室と前室の一部分です。本来的には前室の前には羨道があったわけですから、結構大きな石室だったと思われます。

ちなみに、古墳を見学した後はそのままこの道の駅でランチを食べてお土産購入タイムにする予定で、前回行ったときに食べたのはこちらです。
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私は道の駅でこういう「和テイスト」を食べるのは珍しいです。
※行程は変更になることがありますのでご承知おきください。

土井ヶ浜遺跡|下関市
冒頭に述べた通り、「土井ヶ浜人」と呼ばれることのある300体以上の人骨が出土した弥生時代の遺跡です。
遺跡はオープンスペースではなく、大きな覆屋のなかにレプリカの人骨を使って発掘時の様子が分かるように展示しており圧巻です。

殺傷痕が検出された人骨も見つかっており、124号人骨がスター人骨です。124号人骨からは14個もの石鏃(矢じり)が検出されました。こちらはどの部分に矢が刺さっていたかのイメージ。

弥生時代のとくに後半は「戦争の時代」というイメージがあるかもしれませんが、それが具現化されている展示のように見えます。ただ、実際のところはどうだったのでしょうか。現地で考えてみてください。

土井ヶ浜遺跡人類学ミュージアム|下関市
その名の通り、土井ヶ浜遺跡について詳しく説明したミュージアムです。

敷地入口に大きな貝のオブジェがある通り、貝に拘った展示であることが特徴の一つです。

もちろん土器の展示もありますが、以前AICTで行ったときは、女性の参加者たちは遺物展示よりも貝関連のお土産選びの方に夢中になっていた印象があります。予算を確保して臨みましょう。
下関市豊北町大字神田上891-8 083-788-1841 月曜休館 9:00~17:00

中ノ浜遺跡|下関市
弥生前期から中期初頭の埋葬遺跡。土壙墓、箱式石棺墓、甕棺墓や集骨葬群があり、花崗岩の風化した砂で埋葬を覆ったり、手を切断したり、二枚貝の1枚を埋葬上に安置するなど、興味深い埋葬儀礼の形跡があります。墓マニアには堪らない遺跡。
下関市豊浦町大字川棚字中ノ浜2393-1


綾羅木郷遺跡|下関市
あやらぎごういせき。弥生時代の集落跡と古墳時代の墳墓群を主とした遺跡です。弥生時代前期中頃から中期前半にかけて掘られた貯蔵穴の数は1000基ほどで、全国最大規模です。執拗に穴を掘った弥生人はいったい何を考えていたのか興味深いですが、貯蔵穴群を取り囲むように環濠が掘られていることから相当ナイーヴにモノを保管したかったのでしょう。そのモノとは穀物だと考えられます。お米は大切です。私も痛切にそれを想います。

39.7m
若宮古墳|下関市
5世紀中頃に築造された墳丘長39.7mの前方後円墳です。主体部は組合せ式の箱形石棺で、白色の粘土で密閉されていました。石棺の長さは2.85ⅿ、幅は1.1ⅿほどで、少なくとも2人が埋葬されていたことが分かっています。
墳丘は前方部2段、後円部3段の段築で、埴輪が並び葺石が施されていたので、中身はともかくとして外見的にはヤマトの標準的な古墳と言えるでしょう。

13.65m
岩谷古墳(移築)|下関市
岩谷古墳は6世紀後半に築造された径13.6mの円墳で、横穴式石室が下関市立考古博物館の前に移築されています。考古博物館の開館時間内であれば石室に入ることができます。


下関市立考古博物館|下関市
下関市内の遺跡から出土した考古遺物を展示しており、素晴らしい展示内容です。山口県内の弥生時代や古墳時代の遺物展示では、ここと土井ヶ浜遺跡人類学ミュージアムがツートップだと思います。
下関市綾羅木454 083-254-3061 月曜休館 9:30~17:00(16:30)

75m
仁馬山古墳|下関市
4世紀後半に築造された墳丘長75ⅿの前方後円墳です。山口県では4番目に大きな古墳。後円部のみ3段築成で、前方部との比高差があるところが前期の古墳らしいです。
発掘調査の結果、盛土の方法が判明しました。後円部の基底部分で高さ1.4ⅿ程の土手が確認されたことから、円形の土手を作ってその中に土を盛るというのを繰り返して構築したことが分かり、これは西日本の古墳に多く見られる手法です。主体部は6ⅿほどの割竹形木棺+粘土槨です。円筒埴輪も検出されています。
写真の通り墳丘は奇麗に残っており、「ザ・前方後円墳」という佇まいですよ。

58m
長光寺山古墳|山陽小野田市
4C後半の築造された前方後円墳。長門の前方後円墳としては最古級です。後円部に2基の埋葬施設があり、西側の竪穴式石室からは三角縁神獣鏡などが出土。割竹形木棺と推定されています。後円部墳頂では埴輪が見つかっています。現在は、西石室が露出しています。
山陽小野田市郡字弥ケ迫697-1


山陽小野田市歴史民俗資料館|山陽小野田市
その名の通り山陽小野田市の歴史や民俗を解説した資料館で、松山窯跡で出土した須恵器のコレクションが充実しています。

北迫遺跡|宇部市
標高約80mの丘陵上に営まれた弥生時代の高地性集落跡ですが、貝塚を伴うという特徴があります。検出された12軒の竪穴住居跡は円形と方形があり、円形のものは弥生時代中期後半から後期初頭が中心で、方形のものは後期末です。
丘陵南西斜面には貝塚が作られ、その大きさは長さ約18m、幅約8mで厚さは約1mあり、県内最大規模とされます。貝塚の時期は、弥生時代中期後半で、貝類にはハイガイ・マガキ・ハマグリ・ヤマトシジミが多く、カワニナやヒメタニシなどの淡水性の巻貝も見つかっています。貝塚からは石鏃などの狩猟具や釣り針などの漁労具は出土せず、住居跡からは石包丁や炭化米が見つかっていることから貝塚を形成しつつもライフスタイルは農耕中心だったようです。

宇部市学びの森くすのき|宇部市
宇部北部の楠地域の歴史を紹介した施設。北迫遺跡から出土した遺物などの考古系の展示もあります。
7m
宗方古墳|宇部市
6世紀に築造されたと考えられている径7ⅿの円墳。ただし、墳丘は削られてしまっているので、実際のサイズや形は分かりません。横穴式石室を内蔵していますが、損壊が激しく、天井石もなくなっています。

美祢市歴史民俗資料館|美祢市
市内の遺跡から出土した考古遺物の展示があります。すぐ近くに「化石館」がありますが、こちらも化石の展示が充実しています。さすが秋吉台です。
美祢市大嶺町東分279-1 0837-53-0189

美祢市化石館|美祢市
化石というと「恐竜か!?」と思うかもしれませんが、そういう派手なものではなく、昆虫や植物の化石が集結した施設です。昆虫マニアには垂涎のコレクションのようです。
美祢市大嶺町東分315-12 0837-52-5474
参加費
2名様参加の場合、お一人様69,000円
3名様参加の場合、お一人様59,000円
キャンセル料と発生時期
キャンセル料は、開催一か月前に発生し、25,000円です。
前日・当日のキャンセル料は、50,000円です。
※最近は酷いキャンセルの仕方をする方がいなくなったため、本現地講座に関してはキャンセル料を従来より少し下げました。
催行人員
最少は2名様、最大は5名様。
参加予定メンバー(8月29日現在)
・MTさん
・松山さん
以上、男性2名様(残席3名様)
