講座概要
現在の富山県である越中国は、北陸地方の中でも特に古代史が面白い地域です。縄文遺跡が豊富にあって、北陸地方では越後と並んで縄文文化が華やかに展開した地域です。従って、整備された縄文遺跡が多くあり、資料館などで土器や土偶などの縄文時代の遺物をたくさん見ることができます。
古墳時代は少し地味な印象ですが、日本海側最大の前方後方墳である柳田布尾山古墳や勅使塚古墳、王塚古墳といった前方後方墳が著名で、ヤマトの文化を受け入れながらも少し距離を置こうとした印象のある地域です。
また、古墳時代に入る少し前の2世紀頃にも注目すべき遺跡があります。それは四隅突出型墳丘墓(よすみ)です。越中はよすみの東限(会津説は微妙)で、藪化しており観察は難しいですが、よすみが生の状態で残っています。越中のよすみは出雲のそれと同じなのか、それとも違うのか。現地でご説明します。
AICTでは、2021年夏に現地講座を行い、またその頃、クラツーでも越中を案内していますが、それらのツアーは越中だけでなく、能登と加賀もめぐりました。クラツーの時は全体的な探訪個所自体が少なく、古墳中心に行程を決めたので、縄文関係は真脇遺跡くらいしか行っていないです。参加された方は記憶があると思いますが、私のクラツー史上最大の暴風雨に晒されたツアーでした(添乗員はアクション俳優をやっている奇麗な方でした)。
今回は4日間確保し、越中に特化して細かくめぐりますし、上述のツアーからもう5年経ちます。それらのツアーに参加された方も久しぶりに越中の古代史に触れてみませんか。そして、まだ越中の古代をご存じでない方にも大変おすすめの内容です。今回もいつもと同じで、公共交通機関では辿り着くことが困難なスポットが多いです。
※本現地講座を企画した段階では、各館の休館予定はチェックしていますが、もし臨時休館になってしまった場合は、他の箇所で代替させていただきます。
※各館に展示してある遺物に関しては、タイミングによっては他館へ貸出している可能性がありますが、その場合はご了承ください。
※本現地講座は自動車でめぐります。
本講座のテーマ
AICTの掲げるテーマの内、本講座は主として「◎」に該当します。
| 旧石器時代 | 日本人のルーツと列島文化の始まりを探る | |
| ◎ | 縄文時代 | 土器と土偶を楽しもう・列島各地の多様な縄文文化に触れる |
| 弥生時代 | 列島各地における国ぐにの発生と邪馬台国の謎を追う | |
| 古墳~飛鳥時代 | リアル日本書紀・ヤマト王権の確立と古代国家成立への軌跡を探る | |
| ◎ | 古墳~飛鳥時代 | 列島各地の古墳をめぐろう・諸国古墳探訪 越中編 |
| 奈良~平安 | リアル続日本紀・列島各地に残る律令国家を見る |
開催日
2026年10月22日(木)~25日(日)
※4日間は無理という方は3日間の参加も可能です。
集合場所と出発時刻
北陸新幹線・富山駅 新幹線中央改札口を出たところに10時35分集合
以下の列車がちょうどよいです。
東京駅8:11発 富山駅10:25着 かがやき505号
※北陸新幹線は早めに座席が埋まる傾向があるので切符の購入は早めが良いです。
昼食
探訪途中で自由昼食。
宿泊場所
3泊とも富山駅徒歩圏でお取りください。
※富山駅徒歩圏のホテルが取れない場合は、多少駅から離れていても車で送迎しますのでお知らせください。
解散場所と帰着時刻
以下の列車に乗れるように富山駅に戻ってきます。
富山駅17:09発 東京駅19:20着 かがやき512号
探訪箇所
※原則として下記の探訪順でめぐりますが、諸々の都合で変更になることがあります。
※一か所の滞在時間は余裕を持って考えており、リクエスト箇所の受付も可能ですが、リクエストを受け付けた場合は、他の箇所の見学時間が圧縮される可能性があります。
※3日間参加希望の方は、「ここだけは絶対に行きたい!」という場所をお伝えください。より早く申し込んでくださった方を優先します。
【1日目】
1日目は集合場所の富山駅から比較的近い富山市内のスポットをめぐります。4日間で最も縄文遺物を見られる日です。
58m
王塚古墳|富山市
墳丘長58mの前方後方墳。主体部や副葬品は不明。前方後方墳は丘陵頂部など現代人のアクセスが大変な場所に築造されていることが多いですが、王塚古墳は車から降りてすぐにアクセスできるので楽ちんです。

66m
勅使塚古墳|富山市
3世紀後半の築造と考えられる県内最古級の古墳。墳丘長は66mで、この時代の東日本各地には、このサイズの前方後方墳が多数造られました。意味のある大きさなのです。後方部は2段築成で上段は盛土というよくある構築方法。駐車場から10分くらい歩き、そのうち半分は軽い山登りです。


富崎墳墓群|富山市
四隅突出型墳丘墓。藪化していますが、頑張って茂みに入って行けば、生の状態のよすみを見ることができます。出雲との関連や富山県や福井県のよすみの特徴については現地でご説明します。


小竹貝塚|富山市
縄文前期の貝塚。91体の人骨が見つかった学史上著名な遺跡です。現地は説明板が立っているのみで特に何もありませんが、富山県埋蔵文化財センター、富山市考古資料館、富山市北代縄文館の各館に展示があることからそのビッグネームさが理解できると思います。



北代遺跡|富山市
後期旧石器時代から平安時代に至る複合遺跡ですが、中心となるのは縄文時代中期後葉で、その時期としては北陸を代表する大規模集落跡です。竪穴住居跡が78棟以上、高床建物跡が4棟以上見つかっています。
現地は北代縄文広場として竪穴住居や高床式建物が復元されており、竪穴住居は土屋根です。隣接する北代縄文館に詳しい解説があり、土屋根住居についての知見も得られます。


富山市北代縄文館|富山市
北代遺跡だけでなく、小竹貝塚についても展示解説をしています。


富山県埋蔵文化財センター|富山市
富山県の施設。県内各地の遺跡から出土したAT以前の後期旧石器時代から中世に至る各時代の考古遺物を展示しています。小竹貝塚については独立したブースを設け、多くの出土遺物や貝層剥ぎ取りを交えて大変詳しく解説。




富山市民俗民芸村 考古資料館|富山市
富山市には後期旧石器時代に遡る遺跡があり、縄文・弥生・古墳の各時代の遺跡に関しては豊富にあります。当館にはその遺物が大集合しており、遺物好きには堪らない施設です。当館で富山市内の考古遺物を把握すれば、富山県全体の古代史について類推して理解することができますよ。

秋田県鹿角市の大湯環状列石出土の「どばんくん」には、知育玩具説がありますが、なんと富山県にもそれに類するものがあります!

【2日目】
2日目は富山駅から東方向をめぐります。著名な縄文遺跡が多いです。多分古墳は1基だけ。

特別天然記念物 魚津埋没林博物館|魚津市
埋没林と蜃気楼に特化した博物館です。昭和5年、魚津港建設の際に約2000年前の約230株の樹根(埋没林)が見つかり、そのうちの数点を展示しています。なお、蜃気楼は春と冬に出現しますが、春の蜃気楼がほぼ毎年見られる場所は魚津のほかは滋賀県大津市など限られます。
魚津市釈迦堂814 0765-22-1049 9:00~17:00(16:30) 冬季以外無休

じょうべのま遺跡|入善町
平安時代前期と鎌倉時代前期の荘園の荘所とみられる遺跡です。圃場整備に伴う昭和45年の発掘調査以降、17回にわたり調査がされました。現在は史跡公園として整備され、建物跡の柱列表示などがあります。
平安時代の遺構としては、10棟以上の建物跡や柱穴が検出され、木筒や木墨書土器が見つかり、その内容から荘園跡と推定されています。また、鎌倉時代前期の遺構・遺物は、東大寺領入善庄の成立時期と同期しています。

浜山玉つくり遺跡|朝日町
古墳時代中期後半の玉作遺跡です。

不動堂遺跡|朝日町
昭和48年の圃場整備に際して発掘調査が行われ、縄文時代中期前葉から中葉にかけての22棟の建物跡を検出しました。2号住居は発見当時は国内最大の縄文住居でした。床面形状は小判形で、大きさは17×9mあり、石組の炉が4基一列に並んで設置してありました。
史跡公園として整備され、2号住居のほか、1号・4号住居も復元されています。また、出土遺物は、隣接する「朝日町埋蔵文化財保存活用施設 まいぶんKAN」に展示しています。


朝日町埋蔵文化財保存活用施設 まいぶんKAN|朝日町
施設名に「埋文」という名前が付いていますが、特に縄文時代の遺物の展示が中心です。不動堂遺跡に隣接していることもあって同遺跡に関して詳しく展示・解説をしており、他には柳田遺跡、下山新遺跡、境A遺跡の出土遺物も展示。縄文土器を沢山見られますよ。民俗展示もあります。




愛本新遺跡|黒部市
縄文中期から後期の集落跡。現地は公園になってます。

桜峠遺跡|魚津市
北陸では貴重な縄文早期の土器(回転押型文の尖底土器)が見つかった遺跡として学史的に著名です。説明板が立っています。

本江遺跡|滑川市
ほんごういせき。縄文前期末から後期末と古墳時代の複合遺跡です。古墳時代の五角形の竪穴住居跡が見つかっており、現地に建物の地表面表示があります。
46.8m
稚児塚古墳|立山町
中期に築造された径46.8mの円墳で、円墳としては富山県最大。葺石あり。県内の古墳では葺石を備えた最古例となります。


東黒牧上野遺跡|富山市
縄文時代中期中葉を中心とする集落跡。環状にめぐった35棟以上の竪穴住居跡のほか、炉跡や土坑などを検出しました。径8.2m×6.4mの楕円形状をした大型の竪穴住居跡が1棟見つかりましたが、10本の柱穴の外側に棒状の自然石を2つずつ配置しています。その自然石は建物の構造上必要なものではないので、呪術的な意味があると考えられますが、私は他の地域で見たことがありません。
土偶も出土しており、富山県埋蔵文化財センターに展示しています。

直坂遺跡|富山市
すぐさかいせき。旧石器時代から縄文時代の遺跡。縄文時代は集落跡。見つかった旧石器にはAT以前の物もあります。縄文早期の回転押型文土器も出土。中期の勝坂式土器文化圏でお馴染みの人面付き土器も出土していますが、甲信地方からの影響でしょうか。今回めぐる各地の土器の展示にその謎を解くカギが散りばめられています。
【3日目】
3日目は、富山駅から見て西側にある砺波平野のスポットをめぐります。射水市・高岡市・小矢部市・南砺市をめぐりますが、4か所すべての自治体に資料館があります。

水上谷遺跡|射水市
縄文時代中期中頃の集落跡。山間部にしては規模が大きいとされています。説明板あり。

小杉丸山遺跡|射水市
須恵器と瓦を焼いた登り窯の復元がありますが、実際に焼くことができる窯なので多少現代風になっています。また、小円墳も発見されており、遺跡内に5基残っています。

飛鳥工人の館|射水市
小杉丸山遺跡のガイダンス施設。
射水市流通センター青井谷1-26 0766-56-4369 9:30~17:00(16:30) 火曜休館
36.5m
大塚古墳|射水市
中期に築造された径36.5m、高さ約6mの円墳で、射水丘陵では最大級の古墳です。発掘調査は行われていません。

串田新遺跡|射水市

城が平横穴古墳|高岡市
高岡市福岡歴史民俗資料館|高岡市
市内の遺跡から出土した旧石器・縄文・弥生・古墳時代の遺物を展示。城が平横穴古墳に関する展示もあります。
桜町遺跡|小矢部市
縄文時代早期から近世に至る複合遺跡。特筆すべきものとして、川跡から土器や石製品とともに木材を加工した品が大量に出土し、中には建築部材と考えられるものもあり、「国内最古の屋根出土」の見出しで新聞に載ったこともあります。現地は公園として整備されており、高床式建物などの復元展示がありますが、環状木柱列もあるということなのでこれは要注目です。
桜町JOMONパーク 出土品展示室|小矢部市
桜町遺跡から出土した遺物を展示し、同遺跡について詳しく解説しています。
小矢部市桜町1716-1 0766-67-5255 9:00~16:30 月曜休館
小矢部ふるさと歴史館|小矢部市
小矢部市内の遺跡から出土した文化財の調査・研究・保管・展示を行う施設。こちらにも桜町遺跡から出土した縄文時代の木製品などを展示しています。
小矢部市埴生274 0766-67-8122 9:00~16:30 月曜休館
50.2m
若宮古墳|小矢部市
後期に築造された50.2mの前方後円墳です。埴輪が出土した古墳としては県内では2例目となりました。
なお、越中の古墳を見ていると埴輪について不思議に思うことが出てくるはずです。
65m
関野1号墳|小矢部市
墳丘長は65mで、前方後円墳としては富山県内最大級となります。また、築造時期は4世紀前半とされ、これも前方後円墳としては県内最古級となります。現地は関野神社となっています。
ところで、60m級の前方後円墳が県内最大級となる富山県においては、100mを超える前方後方墳の柳田布尾山古墳(後述)がいかに特別な存在であるかが分かると思います。

高瀬遺跡|南砺市
昭和45年の圃場整備中に平安時代初期の荘園の役所の遺構を検出。東大寺の荘園であったと考えられています。古代荘園跡としては全国で初めて国指定の史跡となった記念すべき遺跡。現地は史跡公園になっています。

南砺市埋蔵文化財センター|南砺市
高瀬遺跡に隣接しており、同遺跡について詳しく解説しています。埋文センターですから当然縄文土器などの展示もあります。
南砺市高瀬736 0763-82-5050 9:00~17:00 火曜休館
【4日目】
4日目は富山駅から見て北西側の高岡市から氷見市方面を訪れます。

中山南遺跡|射水市

囲山遺跡|射水市
一部にヒスイの勾玉や管玉などの副葬品が見られる縄文時代の土壙墓のほか弥生時代後期の土壙墓や方形周溝墓を検出しました。富山県で方形周溝墓は珍しいと思われます。よすみの可能性はないでしょうか。現地には特に目で見られる物はありません。

越中国府跡(勝興寺)|高岡市
律令時代に越中の国庁があったと推定されている場所には、雲龍山と号する浄土真宗の勝興寺があります。2021年7月に一人で行ってひょろっと参拝したとき、偉くでっかい本堂だなあと思ったのですが、2022年12月に国宝に指定されました。本堂は、寛政7年(1795)に前田藩第11代藩主治脩の援助によって建てられたものです。


越中国分寺跡|高岡市


高岡市万葉歴史館|高岡市
当地は越中の国府があった場所で、万葉歌人として名高い大伴家持は5年間越中守として当地に赴任していました。そういう時代背景があって、平成元年(1989)の高岡市市制施行百周年を記念する事業の一環として建設を企図され、平成2年(1990)10月にオープンした施設です。『万葉集』に関心の深い全国の方々との交流を図るための拠点施設という位置づけです。
高岡市伏木一宮1-11-11 0766-44-5511 9:00~17:00(16:15) 火曜休館
※下の写真は5月の薩摩の現地講座の際に訪れた薩摩国府跡に建つ大伴家持の像です。

62m
桜谷1号墳|高岡市
前期に築造された前方後円墳。

50m
桜谷2号墳|高岡市
日本海が望める前方後円墳です。

107.5m
柳田布尾山古墳|氷見市
墳丘長107.5mを誇る大型前方後方墳。前方後方墳としては、九州から東北までの日本海側では最大の大きさで、全国の前方後方墳の大きさランキングでは9位です。墳丘からはちょっと遠いですが日本海を臨むことができます。

柳田布尾山古墳公園 古墳館|氷見市
柳田布尾山古墳について解説した施設です。


朝日貝塚|氷見市
縄文時代前期から中世にいたる複合遺跡で、主体は縄文前期から中期。誓度寺境内に所在します。大正7年(1918)にお寺の建設中に見つかりましたが、ちょうど大境洞窟住居跡(後述)の発掘のために来ていた柴田常恵らが発掘調査を行いました。こういう偶然は面白いです。4年後には二つの遺跡は仲良く同時に国史跡になりました。
大正13年の2度目の発掘の際には、国内初例となる炉跡のある住居跡が2棟確認されました。2棟は時代が異なり、縄文時代前期末と縄文時代中期前葉~中葉のもので、境内にある保存舎で見ることができます。

氷見市立博物館|氷見市
氷見市の歴史について解説した博物館。氷見市内では現在のところ確実に旧石器時代にまで遡る遺跡は見つかっていないため、縄文時代以降の展示になります。縄文時代の遺跡としては、朝日貝塚の出土遺物を多く展示し、大境洞窟住居跡についてはジオラマを設置しつつ大きく取り上げています。朝日貝塚出土の土器で白眉とされる装飾把手付深鉢は、レプリカではありますが必見です。
なお、古墳時代に関しては、後期の前方後円墳である朝日長山古墳を最も大きく取り上げていますが、古墳自体は見学できる状況ではないので、今回の行程からは外しています。
富山県氷見市本町4-9 0766-74-8231 9:00~17:00(16:30) 月曜休館

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加納横穴群|氷見市
6世紀後半~7世紀に築造された横穴墓群。蛭子山の富山湾に向く東側斜面で58基の横穴墓が検出され、副葬品も多数見つかりました。
※横穴墓ですので、現地の状況が悪い場合は割愛します。

大境洞窟住居跡|氷見市
富山湾岸の海蝕洞窟。入口の幅は約18m、奥行きは約35mあります。縄文時代中期から近世にかけての複合遺跡で洞窟内には白山神社が祀られており、大正7年(1918)の社殿改築の際に土器や骨などの遺物が出土し、その後、柴田常恵らが発掘調査を行いました。それは我が国初の洞窟遺跡の発掘調査でした。



参加費
【催行時の合計参加人数が2名様だった場合】
4日間参加の方は、お一人様72,000円
3日間参加の方は、お一人様69,000円
【催行時の合計参加人数が3~5名様だった場合】
4日間参加の方は、お一人様59,000円
3日間参加の方は、お一人様54,000円
キャンセル料と発生時期
キャンセル料は、開催一か月前に発生し、4日間でお申し込みの場合は36,000円、3日間でお申し込みの場合は34,500円です。
※前日・当日のキャンセル料は、4日間でお申し込みの場合は72,000円、3日間でお申し込みの場合は69,000円です。
催行人員
最少は2名様、最大は5名様。
参加予定メンバー(月日現在)
