縄文時代に英雄神話が存在したことを想起せしめる日本最大の土偶
2023年9月22日号
これは土面ではない。
土偶の頭部なのだ。
長さは24㎝。
岩手県盛岡市の萪内(しだない)遺跡から出土した。
国の重要文化財に指定されている。
真正面から見るとすごい迫力。
顔一面に入墨を施しているようだ。
縄文時代後期の遺物であるから、その時代はまだ国家も無ければ当然、王もいない。
しかしこのスケール感は、王の存在を想起せしめる。
王とは言わずとも、英雄と言われた実在の人物をモデルにしたのではないだろうか。
事実、こういう顔の人は今でもいるだろう。
貴方の職場にも。
横から見てみよう。
耳が大きい。
面白いことに、岩手県の遺跡からは、耳や鼻、口だけの土製品が出土することがある。
そういったパーツに異様にこだわりを持っているのだ。
いや、耳が大きいということは、多くの人びとの意見を聴ける聡明な人物であったことの証ではないだろうか。
ついでに後ろからも見てみよう。
なかなか良い頭の形なので、スキンヘッドでもカッコ良かったであろう。
そしてこれは、冒頭に述べた通り土偶の頭部であって、右脚の一部も出土している。
これらの遺物から推測すると、この土偶は元々は1mを越える大きさであったと考えられ、現在判明している中では、日本最大の土偶である。
この土偶を見ると、縄文時代にはすでに英雄神話も形成されていたのではないかと想像してしまう。
※本記事で紹介した遺物が現時点で展示されているとは限りませんので、その点はご了承ください。