最終更新日:2024年9月21日
※写真はすべて稲用が撮影しました
※写真はなるべく文様がよく見えるように明るめに補正していますので、実物とは色味が違うことがあります
※展示ケースの反射で余計なものが写り込んでいるものがあります
※今一ピンが甘いものがあります
※撮影禁止のものは写していないつもりですが、万が一掲載不可のものがあったらお知らせください
※型式を始めとして説明文におかしな点がありましたらご教示ください
※紹介した遺物が現在その施設で展示されているとも限らないのでご注意ください
※各写真はクリックで拡大します
花積下層(はなづみかそう)式土器の標式遺跡は、埼玉県春日部市の花積貝塚です。
関東地方の前期土器のトップバッター。早期の土器と言ったら尖底土器を思い浮かべる人も多いと思いますが、花積下層式土器は前期土器なのにまだ尖底のものがあります。そろそろ腰を落ち着かせて定住をしようかなと思いつつも遊動生活への未練が捨てきれない、関東の人のそんな揺れる心が想像できます。
施文は羽状縄文でバッチリ決めています。関東地方の前期前半の花積下層式土器、関山式土器、黒浜式土器は、羽状縄文系土器として一くくりにされることがあります。
羽状縄文は、早期後半の縄文から発展した文様で、右撚りと左撚りの縄を交互に転がすか、心棒に右撚りの縄と左撚りの縄を巻き付けて、それを転がすことによって羽状をなすように施文します。
胎土に繊維を多量に含ませることが特徴で、繊維は土器を焼くと燃えてなくなるため、土器の軽量化に役立っていますが、関東ではこの羽状縄文系土器をもって、胎土に繊維を混ぜることをやめます。なお、羽状縄文系土器は、関東・東北南部・新潟で盛行し、中部地方の土器にも影響を与えています。
キャプション情報
タイトル:深鉢[花積下層式土器]
出土地:群馬県渋川市三原田仲井遺跡
土器型式:花積下層式土器
渋川市赤城歴史資料館
2022年6月12日撮影
キャプション情報
タイトル:縄文土器(深鉢)
出土地:埼玉県児玉町秋山中山遺跡
土器型式:花積下層式土器あるいは二ツ木式土器
本庄早稲田の杜ミュージアム
2022年6月12日撮影
キャプションには、「花積下層~二ツ木式土器と呼ばれているもの」と記されており、明確な型式判断ができない模様。
参考資料
・『縄文土器の研究 普及版』 小林達雄/著