最終更新日:2024年12月29日
※写真はすべて稲用が撮影しました
※写真はなるべく文様が見えるように明るめに補正していますので、実物とは色味が違うことがあります
※展示ケースの反射で余計なものが写り込んでいるものがあります
※今一ピンが甘いものがあります
※撮影禁止のものは写していないつもりですが、万が一掲載不可のものがあったらお知らせください
※型式を始めとして説明文におかしな点がありましたらご教示ください
※紹介した遺物が現在その施設で展示されているとも限らないのでご注意ください
※各写真はクリックで拡大します
興津(おきつ)式土器の標式遺跡は、茨城県美浦村の興津貝塚です。紛らわしいですが、漢字で表記すると同じ「興津式」になる「おこつしき」土器は、北海道の続縄文時代早期の土器です。
浮島式土器のページでも述べましたが、縄文時代前期前半の関東・中部地方では羽状縄文系と呼ばれる土器が流行して、関東では、花積下層式、関山式、黒浜式と推移し、その次にハマグリやサルボウなどの二枚貝の腹縁を用いて連続鋸歯文や連続圧痕文を施したり、竹のような植物を半裁して平行沈線や爪形文を施した浮島式土器が登場します。興津式土器はそれに後続して現れ、両者は浮島・興津式土器様式として一くくりにして考える研究者もいます。
興津式土器の分布範囲は関東地方の東から北寄りで、利根川流域(上流の群馬県を含む)および霞ヶ浦沿岸に多く認められ、関東地方の外からはほとんど見つかっていないようです。同じ頃の関東地方西寄りは、諸磯c式、つづいて十三菩提式が勢力を張りました。興津式は、Ⅰ、Ⅱ式に細分されます。
器形は深鉢を基本とし、口縁は平縁と波状縁があります。
キャプション情報
タイトル:興津貝塚出土 興津Ⅰ式土器(複製品)
出土地:茨城県美浦村興津貝塚
土器型式:興津Ⅰ式
美浦村文化財センター
2023年10月28日撮影
キャプション情報
タイトル:興津式土器
出土地:出土地不詳
土器型式:興津式
國學院大學博物館
2024年12月1日撮影
筆者補足:台付は珍しい
キャプション情報
タイトル:深鉢
出土地:東京都中野区寺山窪泥炭遺跡
土器型式:興津式
解説文:縄文時代前期末に利根川下流域に分布した興津式とよばれる土器の流れをくむもので武蔵野台地では珍しいものです
中野区立歴史民俗資料館
2023年10月5日撮影
参考資料
・『縄文土器大観1 草創期 早期 前期』 小林達雄/編 小川忠博/撮影 1989年
・『縄文土器の研究 普及版』 小林達雄/著 2002年
・『縄文土器ガイドブック』 井口直司/著 2012年