面白いを通り越して懼れさえ感じる顔
2023年9月24日号
昨日、山梨県立考古博物館で、「発掘された日本列島 2023」を観覧してきたが、どうしたものか、勢いが感じられなかった。
私は2010年からほぼ毎年行っているが、いつもはグッとくるものに巡り合っていた。
過去の写真を見返すと、例えば2014年には、国宝の合掌土偶が祈っていたし、今城塚古墳の力士埴輪もあの笑顔をたたえたまま土俵入りのポーズを決めていた。
しかしそのときの開催でもっとも良かった、というかむしろ恐懼したのがこの遺物だ。
顔だ。
私は顔が好きなので、本シリーズでも顔関係の遺物の紹介が多いわけだが、これはいつの時代の遺物だと思われるだろうか。
なんと縄文時代前期後半である。
これも一応、土偶とされているが、かなり異質で、他に類例を見ない遺物とされている。
大きさは15.1㎝なので、これだけを見るとそんなに大きいわけではないが、実物を見た後に写真を見返すと、なぜかとても大きなものだったように思えてしまう。
それだけ存在感があるということなのだろう。
なお、現在実物は、「千葉県立房総のむら」保管とされているが、印旛郡市文化財センターでレプリカを見ることができる。
同センターにはこれまた著名な、ムササビ形埴輪のレプリカも展示してある。
全国の考古遺物をいろいろ見ていると分かるが、千葉県は特に面白い遺物が多くて、古代の千葉県人って変わった人が多かったのかな?と思ったりするが、そういう私も千葉県出身で、そういう傾向にあることを自覚している。
ところで、諸君らは南羽鳥中岫遺跡の「中岫」を読めるだろうか?
「なかのごき」って読むのだよ。
さすがは千葉県。
※本記事で紹介した遺物が現時点で展示されているとは限りませんので、その点はご了承ください。