明治大学博物館|東京都千代田区 ~見学しやすくて充実した内容の大学博物館~

最終更新日:2023年10月4日

 明治大学博物館の展示は、とくに考古系が俊逸で、それらをすべて説明するのは難しいです。ここでは、その中のごく一部について紹介します。

 

前期・中期旧石器時代

旧石器時代について

 日本では、前・中期旧石器の出土が極めて少ないため、列島各地の博物館でそういった古い時代の遺物が展示してある場合はほとんどが外国のものです。

 例えば、明大博物館にも展示がありますが、それについて、私はとても解説ができるほどの知識はないため、メモ書き程度に写真と共に紹介します(写真は全て拡大します)。

 まず、明大博物館では、人類の拡散を下図のように説明しています。

 

 前期を前半と後半に二分割していますが、前半にはオルドワン文化が栄えました。礫を打撃して剝片(はくへん)を得て、その剥片を道具として使っていたのです。

 後半にはアシュール文化が栄えました。ハンドアックスに代表されるこの時代の石器は、礫器(れっき)といって、礫を加工して作っています。この文化からはルヴァロア技法が生まれました。

 前期の人びとは、上図で言うところの黄色の範囲に広がりました。後述する北京原人は、この時代の人びとです。

 中期になると、一つの石を叩き割って複数の剥片にして、それを加工して石器を作る技術が向上します。叩き割るのは適当ではなく、最終的な製品をイメージしながら計算して剥片にしています。この頃の文化には、削器や尖頭器(槍先)に代表されるムスティエ文化があります。上図では、赤の部分に相当し、具体的な人びとの種類の名前としては、ネアンデルタール人が有名です。

 ネアンデルタール人は、海外ではホモサピエンスと同時期に生存していたことが考古学的にも分かっており、分子人類学の研究からもホモサピエンスと交配していたと言われています。

 後期は、剥片にする技術がさらに進化し、石刃(せきじん)と呼ばれる似た形状の石器を一つの石から大量に作り出す技術が発達します。この文化の担い手はホモサピエンスで、私たち日本人の先祖もこの系譜に連なります。石刃の最終進化系は、細石刃です。

 明大博物館では日本列島内での前・中期旧石器時代人の存在については明言していませんが、以下の説明を読むと、実はいろいろと思うところがあるように推察します。いずれはっきりする日が来ることを期待します。

 

 これが展示の全体ですが、一見して気づくのは、でかい石器が多いことです。

 

 大きさが比較できるものが一緒に写っていないため分かりづらいと思いますが、後期旧石器時代の石器に見慣れていると、異様な大きさに見えるものがあります。

 

周口店(しゅうこうてん)第1地点

 周口店は、北京原人で有名な遺跡で、遺跡名としては北京原人遺跡と呼ばれています。展示されている石器の中でも最大なのが、この周口店出土の石器のレプリカです。

 

 北京原人の学名は、ホモ・エレクトス・ペキネンシスで、大きな括りとしてはホモ・エレクトスの仲間です。最初に北京原人と名付けられた頭蓋骨の化石は、現在は行方不明ですが、70万年前くらいのものとされています。

 なお、前期は人類が石器を使い始めた約260万年前から30万年前くらいまでです(研究者によって考え方が違い、明大博物館では、20万年前としています)。

 

丁村(ていそん)遺跡

 こちらも中国の遺跡で、展示はレプリカです。キャプションには前期とありますが、遺跡自体は中期の遺跡として有名なようです。

 

  

マドラス遺跡

 インドのマドラス遺跡ということですが、もう私の知識の範囲をはるかに超えているため何も言えません。

 

 マドラスという都市は、今はチェンナイと呼ばれていますが、私的にはマドラスの方がしっくりきます。

 

マルビエール遺跡/ビラベルデ遺跡

 スペインの遺跡です。まったく歯が立ちません。

 

 もし行ったことがある方がいたら反対に教えてください。

 

石壮里(ソクチャンニ)遺跡

 公州石壮里遺跡は、韓国の国指定史跡で、先史時代の遺跡としては韓国では最大級です。

 これは中石器時代の石器です(レプリカ)。

 

 石壮里博物館に行ってみたい!

 しかし、朝鮮半島までは前期旧石器時代人の痕跡が明瞭なのに、なぜ日本列島には少ないのか。

 対馬海峡を船で渡るのが困難だったというのが一番の原因だと思いますが、私的には単に列島内でまだまだ見つかっていない遺跡があるだけだと思っています。

 列島各地の旧石器時代の遺跡を見てみると、現代人とはライフスタイルが異なり過ぎることから、予想もしなかった山の中から偶然見つかるとか、そういうケースが多いです。

 今後も新たな発見があるでしょう。

 とてもロマンのある話ですね。

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