曽利式土器/縄文時代中期【ひたすら土器写真】

最終更新日:2024年12月5日

※写真はすべて稲用が撮影しました
※写真はなるべく文様がよく見えるように明るめに補正していますので、実物とは色味が違うことがあります
※展示ケースの反射で余計なものが写り込んでいるものがあります
※今一ピンが甘いものがあります
※撮影禁止のものは写していないつもりですが、万が一掲載不可のものがあったらお知らせください
※型式を始めとして説明文におかしな点がありましたらご教示ください
※紹介した遺物が現在その施設で展示されているとも限らないのでご注意ください
※各写真はクリックで拡大します

 

 

 曽利(そり)式土器の標式遺跡は、長野県富士見市の曽利遺跡。井戸尻考古館の隣です。

曽利遺跡(うしろに写っている建物は井戸尻考古館)

 

 曽利式土器は、縄文時代中期後半の土器で、勝坂式土器に続いて登場しました。勝坂式土器は、地域によっては呼び名が異なることがあり、曽利式土器の標式遺跡のある長野県八ヶ岳西南麓地域では、下図のように井戸尻(いどじり)編年というのが確立されており、曽利式土器の前段階の土器を井戸尻式土器と呼ぶことがあります。本場である井戸尻考古館の展示キャプションではそうなっていますし、山梨県笛吹市の釈迦堂遺跡博物館でもそう呼んでいます。反対に西関東で勝坂式土器のことを井戸尻編年に則って呼ぶ人は多分いないと思います。ややこしいですが、そのうち慣れます。

井戸尻考古館の展示パネルに加筆(赤文字の部分)

 

 かの有名な水煙文土器は、井戸尻Ⅲ式期の頃に現れ、曽利Ⅰ式期に芸術性が爆発します。それよりも少し前に越後では火炎土器が生まれたため、まさに武田信玄vs上杉謙信を思わせる構図となりますが、川中島あたりで競り合っていたわけではなく、千曲川のもっと下流域の長野県と新潟県の県境あたりがが両者が交わった場所でした(なお、言わずもがなことですが、土器の分布は近代国家の国境線のようにきっかり分けられるものではありません)。

 同じ時期の東関東では、加曽利E式土器が勢力を張っており、曽利式と名前が似ていますが、たまたまです。加曽利E式土器勢力は、西への進出を企て、それより前に勝坂式土器を使っていた関東西部は、その軍門に降りました。さらに加曽利E式勢力は、余勢を駆って甲斐(山梨県)への進出を企てますが、甲斐は曽利式土器勢力がガッチリ抑え、加曽利E式勢力の野望は砕け散りました。まるで、古河公方が後北条氏を撃破して、余勢を駆って甲斐侵攻を目論んで失敗したような「仮想戦国シミュレーション」のような状況です。

 ※戦国時代的な表現ばっかりですが、土器型式の編年はこの例え話で理解していただけると思います。多分。

 

キャプション情報
タイトル:水煙渦巻文深鉢
出土地:長野県富士見市曽利遺跡
土器型式:曽利Ⅰ式
補足:曽利遺跡4号住居址から出土した、当館を代表する資料の一つです。造形の素晴らしさもさることながら、同じく4号住居址から出土した6点の土器とともに、曽利Ⅰ式(約4500年前)の基準となる、学術的にも非常に価値の高い土器です。

井戸尻考古館
2022年4月10日撮影

 

 

 

キャプション情報
タイトル:水煙文土器
出土地:甲州市安道寺遺跡
土器型式:記載なし

山梨県立考古博物館
2022年5月15日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:水煙文土器
出土地:甲府市上野原遺跡
土器型式:記載なし

山梨県立考古博物館
2022年5月15日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:曽利Ⅰ式土器
出土地:埼玉県和光市吹上貝塚
土器型式:曽利Ⅰ式

國學院大學博物館
2024年12月1日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:甲州市殿林遺跡
土器型式:曽利Ⅱ式

山梨県立考古博物館
2022年5月15日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:昭和17年出土の「独立土器」(X字状把手付深鉢形土器)
出土地:長野県茅野市尖石遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2022年4月10日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:縄文土器 深鉢
出土地:東京都八王子市TN No.300遺跡
土器型式:曽利式

東京都埋蔵文化財センター
2022年5月14日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:把手付深鉢形土器
出土地:長野県茅野市尖石遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2022年4月10日撮影

キャプションには中期後半とあるが、曽利式かどうか悩む。

 

キャプション情報
タイトル:日向上遺跡出土土器
出土地:長野県茅野市日向上遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2022年4月10日撮影

 

キャプション情報
タイトル:双口土器
出土地:長野県茅野市一ノ瀬遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2022年4月10日撮影

珍しい形の土器。現代人的発想だと、2種類の味の料理を同時に作れて便利だと思うが、実際に縄文人がどういう使い方をしたのかは分からない。

 

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:山梨県都留市尾咲原遺跡
土器型式:曽利式

ミュージアム都留
2024年8月29日撮影

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:山梨県都留市久保地遺跡
土器型式:曽利Ⅲ式

ミュージアム都留
2024年8月29日撮影

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:山梨県都留市久保地遺跡
土器型式:曽利Ⅲ式

ミュージアム都留
2024年8月29日撮影

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:山梨県都留市久保地遺跡
土器型式:曽利Ⅲ式

ミュージアム都留
2024年8月29日撮影

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:山梨県都留市久保地遺跡
土器型式:曽利Ⅲ式

ミュージアム都留
2024年8月29日撮影

 

 

 

キャプション情報
タイトル:深鉢形土器
出土地:千葉県船橋市海老ヶ作貝塚
土器型式:曽利式

飛ノ台史跡公園博物館
2024年11月24日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:褶曲文(しゅうきょくもん)のある深鉢形土器
出土地:長野県茅野市聖石遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2023年9月24日撮影

 

 

キャプション情報
タイトル:水煙把手付深鉢形土器
出土地:長野県茅野市中ッ原遺跡
土器型式:記載なし

尖石縄文考古館
2024年8月20日撮影

 

「カモーン!」と言っているような雰囲気

 

 

参考資料

・『縄文土器の研究 普及版』 小林達雄/著

 

 

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