2025年2月25日(火)から2泊3日で、豊前中心の現地講座を開催させていただきました。
AICTとしては、第172回目の開催です。
今回は北九州空港集合としました。
往路の飛行機の窓からは結構良いコンディションで写真が撮れましたので少しだけご紹介します。
私は西に行くときは左舷の窓側を取ることが多いのですが、今回は右舷の窓側に座ってみました(右舷というのは、飛行機の後ろから見て右側です)。
空港で待っている時から富士山が綺麗に見えていたため、今日は左舷側に座る人はきっと綺麗な富士山が見えるんだろうなと思っていました。

私が知っている限りでは、西へ向かう飛行機の場合は、離陸後は東京湾上を右旋回して西への針路を定めます。この時だけ右舷側から富士山が綺麗に見えました。

海の中に浮かんでいるのはアクアラインの「風の塔」です。
今飛び立った羽田空港も良く見えます。

こうして見ると大きな空港ということが改めて分かりますね。

さあ、関東平野が一望できましたよ。

ちょうど北の方が見えているので、遠く見えている山々は、日光や赤城、榛名などのはずです。
真中の大きな川は多摩川で左側は鶴見川。この2つの川は別水系です。
東京都大田区・世田谷区の多摩川沿いには古墳が多いですね。大田区域は田園調布古墳群、世田谷区域は野毛古墳群と呼ばれますが、両古墳群を併せて荏原台古墳群と呼ばれることもあります。

荏原台古墳群の中で有名な古墳は以下の3基でしょう。
墳丘長107mの前期古墳である亀甲山古墳。

墳丘長97mの前期古墳である宝来山古墳。

都内で横穴墓が見られる場所は非常に少ないですが、等々力渓谷では3号横穴墓が見学できるようになっています(多分ここ以外は三鷹市と大田区だけ)。

そして、世田谷区の野毛大塚古墳。

5世紀に築造された墳丘長82mの帆立貝形古墳で、綺麗に整備されています。
昔並べてあった円筒埴輪の模造品は、近所のやんちゃな子供たちが破壊してしまった、と地元の人に聴きました。
世田谷区ってそんな野蛮人が住んでいるんですか?
私が住んでいる八王子市はスマートな都会人士が暮らす街で、不良なんて一人もいませんよ。
奇妙な格好をした風変わりな御仁はよく見かけますが。
野毛大塚古墳を実際に訪れてスケール感を身体に覚えさせておくと、全国各地にある大型の帆立貝形古墳を見学するときに、例えそこが整備されていなかったり森の中であっても、大きさを把握することができます。
荏原台古墳群は、東国を歩く会でもクラツーでも、そしてAICTでもやりました。「たくさん歩いた―」と思い出を語る方もいらっしゃいますが、空から見ると狭い範囲ですね。
大田区の久ヶ原遺跡は弥生時代中期後半以降の巨大集落跡です。現地は完全な住宅街になっており、公園に説明板が立っているだけですが、いずれ、AICTで都心の遺跡歩きをするときに案内しようかと思っています。

公園内の椅子がさりげなく弥生土器風デザイン。

神奈川県側を見ると川崎市の墳丘長87mの前期古墳である加瀬白山古墳がありますが(ありましたが)、多摩川流域とも鶴見川流域ともとれる位置にあります。
加瀬白山は「消滅古墳」とされていますが・・・。

画面には写り込んでいませんが、近くの横浜市には「元」神奈川県最大の前方後円墳であった観音松古墳がありました。
現在は墳丘は残っておりません。

まだ墳丘が残っていた頃、心ある人は「ちゃんと調べなきゃなあ」と思っていたそうですが、いざきちんと調査をしようとしたらすでに墳丘は無くなっていたそうです。
平易な言葉で表現すると、「行政の怠慢」ですね。
観音松古墳の墳丘長は100mあったとされていますが、観音松古墳亡き今、神奈川県最大の古墳は三浦半島の長柄桜山1号墳(91.3m)です。
長柄桜山古墳は、AICTでも大好評で3回も現地講座をやらせていただきました。
左舷側に座ったら三浦半島も良く見えたはずです。
飛行機は引き続き西に進みます。

地上を見ていて人工物の中で一番目立つのが飛行場です。

狭山丘陵の近くには米軍横田基地があり目立ちます。
横田基地には戦闘機は配備されていませんが、以前ダスキンに勤めているとき、ちょうど夕方お店から帰ろうとしていたら、今まで聴いたことのない物凄く大きなジェットエンジンの音が聴こえ、上空を観察していたら戦闘機の編隊が飛んでいきました。
この辺りで戦闘機の編隊を見れる機会などはまずないので非常に驚き、軍事マニアの友人に照会したところ、沖縄のアメリカ空軍嘉手納基地所属の戦闘機で、台風のために基地に帰還できなくなったため、急遽横田基地に降り、台風が収まったので編隊を組んで沖縄に戻って行ったそうです。
何機だったかは覚えていませんが、確か10機以上で、私的にはこういう異常な動きをするとお隣の国の偉い方はビビるんじゃないかと思いました。
そういう政治的な意味もあったんじゃないかと思っています。
なお、アメリカ大統領(先日再選しちゃった人)が過去に来た時にはエアフォースワンも見れましたし、変わった飛行機としては、A-10サンダーボルトⅡも見たことがあります(下の写真はコンデジで撮ったA-10)。

恐ろしいくらいの攻撃力を持った飛行機で、これに目を付けられたら最後です。
私も恐怖に駆られて早々と幕府まで逃げて帰りました。
横田基地のすぐ東側にある立川の昭和記念公園の横には、陸上自衛隊立川駐屯地があり、ヘリコプターを有する東部方面航空隊などが駐屯しています。
元々は日本陸軍の飛行場でしたが、第二次大戦中は実戦部隊は配備されていませんでした。
狭山丘陵の北側には航空自衛隊の入間基地があります。
ここも戦闘機は配備されていないので、東京の人間は既述したようなイレギュラーなことが無い限り、ジェット戦闘機のとてつもなくうるさいエンジン音に悩まされることがないのです。
なお、入間基地には地対空ミサイルが配備されているので、北朝鮮から東京めがけて打ち込まれたときは、少しくらいは落としてくれると思います。
少し離れて右側(東側)には、民間の調布飛行場があります。
ここには第二次大戦の時は、陸軍飛行第244戦隊が配備され、三式戦闘機「飛燕」がB-29を撃墜するために飛び立ちました。
三鷹市内には大沢掩体壕が残っており、かなり前に「東国を歩く会」で訪れました。
大沢1号掩体壕には飛燕のイラストが描かれ、その前には模型が置かれています。

AICTでもやりたいですが、AICTの場合はこういう戦争遺跡に興味がある人は少ないんですよね。
ところで、飛燕はドイツ空軍のメッサーシュミットBf-109という戦闘機を元に(後略)。
そう考えると、空撮している高度的には、B-29が爆撃を行ったときのイメージに近いかもしれません。
下から日本軍の戦闘機が迎撃のためにガンガン上がってくるイメージですが、日本の戦闘機は軒並み高々度での運動性能が悪いため(後略)。
飛行機からは八王子盆地も良く見えました。

参考までに高尾幕府の位置もプロットしておきました。
何の参考かは不明ですが、高尾幕府は有事の際には初沢城を詰の城として使うという意味が良く分かると思います。
ここには写っていませんが、八王子城は徒歩1時間かかるのでちょっと遠い。
ところで、よく東京を発した中央線の高尾駅の次は山梨県だと思われています。
もっと言えば、八王子市は山梨県だと思っている人もいます。
でもそんなことを言ってる人は頓珍漢ですよ。
高尾駅の次は、相模湖駅、藤野駅と続き、両駅は神奈川県です。
津久井郡(今は相模原市)で、中世の頃は奥三保と呼ばれた地域であり、戦国期には北条と武田に両属して、税をそれぞれ半分ずつ収めていた村もあるという歴史的に面白い場所です。
津久井湖や相模湖が分かりやすいため、上から見てもすぐに分かります。

津久井湖と相模湖周辺は神奈川県ですが、相模湖の左側(西側)の少し広くなっているところは、山梨県上野原市です。
ということで、この次に現れるのは甲府盆地です。
(つづく?)