沈目遺跡|熊本県熊本市南区 ~旧石器時代中期から後期への文化移行期の遺跡~

更新日:2022年5月11日

中期~後期旧石器時代
しずめいせき
熊本県熊本市南区城南町沈目 標柱・説明板等なし
熊本市塚原歴史民俗資料館に遺物展示あり

2022年5月2日(月)

 今回の旅の目的の一つは、九州におけるホモサピエンスではない人びとの足跡を訪ねることです。

 沈目遺跡もそのうちの一つで、事前にWebで調べた限りでは標柱や説明板などの写真が出てこなかったので、そういうものには期待せず、とりあえず現地の風景を見られれば良いというレヴェルのスタンスで向かいましょう。

 たどり着いたのは浜戸川北岸です。

 あの道路を造るときに発掘調査がされているようですが、実は今はまだこの遺跡についての情報はほとんど知らないのです。

 ※あとで思ったのですが、考えてみればこんな川の近くに遺跡はないですよね。

 ※普通考えたら遺跡は一段上がった場所でしょう。

 ※なぜかこの時は気づきませんでした。

 予想通り何もありませんが、現地が見られたので良しとしましょう。

 明日訪れる予定の熊本市塚原歴史民俗資料館に遺物が展示してあるということですし、遺跡についての情報はそこで入手できると思います。

*   *   *

 というわけで、翌日訪れた同館の展示を見ながら沈目遺跡について述べてみます。

 同館には、期待通り沈目遺跡の出土遺物コーナーがありましたよ。

 そこに掲示してある「熊本日日新聞」の切り抜き(木崎康弘/著)を元に述べますと、沈目遺跡出土の石器の中でとくに注目すべきものが2種類あります。

 一つは「類ナイフ状石器」で、後期旧石器時代にはナイフ形石器と呼ばれるものが普及するのですが、それの原型とも呼べる元祖的な石器であり、その後の後期旧石器時代への文化的な繋がりが見られます。

 もう一つは、縁辺部を鋸歯状に加工した削器(スクレイパー)で、中期旧石器時代からの系譜を引き継ぐ石器ですが、後期旧石器時代には造られなくなる石器です。

 つまり、沈目遺跡から出土した石器を見ると、約4万年前くらいの中期から後期への移行期に存在した遺跡であることが分かるのです。

 『九州地方における洞穴遺跡の研究』によると、沈目遺跡の第6層から出土したこれらの石器群の特徴や組成、そして二次加工をする技術が、福井洞窟第15層の石器群と共通するといいます。

 福井洞窟第15層出土の石器は、現状では正確な年代は分からないものの間違いなく後期旧石器時代の開始期より新しいことは無く、それ以前の中期旧石器時代の可能性が高いとされており、それを合わせて考えてみても、沈目遺跡はホモサピエンスではない人びとの遺跡である可能性が高いと考えられます。

 石器を造る時に使った台石とたたき石も展示してありますよ。

 今回の旅ではもう少しホモサピエンスではない人びとの存在を伺わせる遺跡を訪れる予定です。

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