焼町式土器の傑作
2023年9月25日号
昨日までの2日間、甲信の現地講座で勝坂式土器を堪能していただいた。ただし、ずっと勝坂だと飽きると思うので、松本にて唐草文土器も見ていただき、その違いを楽しんでいただいた。
道中、焼町(やけまち)式土器の話も出たため、どのような土器か、群馬県渋川市の北橘(ほっきつ)歴史資料館に展示してある市内道訓前(どうくんまえ)遺跡から出土した重要文化財の土器から一点選んで紹介する。
これが焼町式土器だ。
把手の部分は勝坂式と同じように動物の顔(目)を思わせるような造形であるが、勝坂式土器とは違って、器面をあまり区画せず、粘土紐と沈潜の立体表現で流れるように全体をデザインしている。
土器の型式をマスターするのは困難ではあるが(多分、プロの考古学者でも完璧に自信がある人はいないと思われる)、展示されている遺物を見て、だいたいの検討が付いてくるようになると土器はより一層面白くなる。
そうなるには、何よりも数をこなすことが大事だ。
多くの博物館や資料館を訪れて、多くの土器を見よう。
そして写真撮影OKであれば、写真に撮り、あとでじっくり観察してみよう。
土器の本を携えて、読みながら見学するのもお勧めだ。
資料館には新聞の切り抜きが貼ってあった。
なお、私は焼町「式」というふうに、型式として呼んでいるが、研究者の中には一つの型式として認めることはできないとして、「焼町土器」と呼ぶ人もいる。
どちらでも良いだろう。
細かいことを言うと、縄文人に笑われてしまうぞ。
資料館では、土器などの遺物や敷地内に復元してある住居について、職員の方が丁寧に詳しく説明してくださるので、もしタイミングよく説明が受けられるようであれば、じっくりと話を伺ってみるのが良いだろう。
なお、AICTでは、2022年9月3日に訪れている。
※本記事で紹介した遺物が現時点で展示されているとは限りませんので、その点はご了承ください。