兵庫県姫路市・見野6号墳のネコの足跡須恵器【日刊遺物新聞 第8号】

それがし、才智では犬に劣ると雖も鼠を捕る才は負けまじ

2023年9月28日号

 犬と猫は人間から愛玩される二大ペットとして著名で、ときに、「犬派」とか「猫派」とかいって、自分の好みを強調する人物に出会うことがある。そんなことはどうでもいいと思う自称「高尾のムツゴロウ」の私は、犬とも猫とも生活を共にした経験があるし、どっちも好きだ。

 しかしだな。

 強いて言えば、馬鹿チンな猫より賢い犬の方が好きだな・・・とか言ったりすると、「猫派」の人間から猫パンチを食らいそうなので、あんまり言わないでおきたいが、やはり人間と最も相性がいいのは、歴史的に見ても犬だ。なんていったって、1万年も前から私たちと生活を共にしているわけだからだ。

 では、猫はいつから人間と暮らし始めたのだろうか。昔は奈良時代からなどと言われていたが、壱岐のカラカミ遺跡(弥生時代)では、最古のイエネコ(家畜としての猫)の骨が見つかっており、私的には、稲作が日本列島に渡ってきたと同時に、イエネコも日本にやってきたのではないかと考えている。そうすると、犬には及ばないが、猫ちんだって二千数百年も日本人と一緒に暮らしているのだ。現代のイエネコと違って、当時の猫はネズミの駆除に大活躍したはずだ。

 さて、兵庫県姫路市の見野6号墳(終末期)からは、須恵器の「坏」の身の内部に、ネコ科の動物の足跡が付いたものが見つかっている。生乾きのうちに踏んでしまったようだ。

 見野の郷交流館にはその須恵器のレプリカが展示してある。

見野の郷交流館にて撮影

 まるで狙って付けたような綺麗な足跡だ。

見野の郷交流館にて撮影

 こういったものは数は少ないが列島各地で見つかっていて、古墳時代に限って言えば、福井県美浜町の興道寺廃寺跡周辺の古墳の周溝からも同様なものが見つかっており、時期も同じ頃だ。

 見野古墳群は後~終末期の群集墳。石室が開口(どころか貫通)している古墳がポコポコ地帯を形成しており、古墳めぐりを楽しめる場所だ。6号墳は「夫婦塚」とも呼ばれており、石室が2つある。

 

 AICTでは、2023年3月26日に訪れている。

 

 

見野の郷交流館

 ※本記事で紹介した遺物が現時点で展示されているとは限りませんので、その点はご了承ください。

 

 

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