列島史上最も太い上腕骨
2023年10月4日号
自分よりも前の世代の人たちは力持ちだった。
博物館の民俗展示コーナーに行くと、それが良くわかる。
農業、林業、漁業、運送業やモノの売買だって、何をするにも力が必要。
行商の人が担いで歩いた籠だって凄い重量だし、ひょいと持ち上げていた米俵は60㎏だ。
しかし、もっと昔の縄文人はさらに力持ちだったようだ。
見つかる縄文人の骨は後世のものよりも太いことが分かっているが、その中でも特筆すべき太い骨が見つかっている。
ちょうどいま、東大総合博物館で「骨が語る人の「生と死」 日本列島一万年の記録より」という特別展示をやっており、そこに展示してある愛知県田原市の保美貝塚(縄文晩期)で出土した骨にはきっと驚くことだろう。

左が史上最も太い上腕骨で、右が江戸時代の人の上腕骨。

研究者はこの遺跡を「縄文マッチョ村」と呼んでいる。

このほか、特別展示では縄文時代や古墳時代の埋葬の状況や、各時代における戦いで傷を負った人の骨や病気にかかった人たちの骨など、興味深い人骨を展示している。
ある女性は、正面から眉間を槍で突かれていた・・・
なぜこの幼児は頭を何度も刺されているのだろうか・・・
そういった残虐な痕跡のある遺骨から「本当の人間の歴史」を想像して欲しい。
もちろん、常設展には土偶や土器などもあり、大森貝塚&モース博士のコーナーもある。
さらに興味深いのは東大が世界中で発掘している成果が見られることだ。
2階にある世界の発掘のスライドコーナーも必見。
特別展は、2024年2月22日(木)まで。
季節によって休館日が異なるので(基本、日・祝は休館)、公式サイトで開館日と時間をチェックしてから行こう。
※東京大学総合博物館の公式サイトはこちら。

※本記事で紹介した遺物が現時点で展示されているとは限りませんので、その点はご了承ください。